二重連星の光度曲線分離


 日本変光星研究会の鈴木さんの観測報告でGSC 3807-0759のライトカーブに異常減光があることに触れていました。 この情報をもとに追観測を行ってみました。確かに通常の食連星とは大きく異なる変光をしていました。

GSC 03807-00759  スライド1
 GSC 03807-00759はVSXにはV0441 UMa(EA)とV0442 UMa(EW)の2つの食連星が離角2.2秒の位置にあると記されていました。 この角度は小望遠鏡では分離が難しい角距離にあたります。 2つの変光星を別々に分離して撮影できれば別々に測定して2つの光度曲線を得ることができますが、 2つの変光星が重なって写ってしまうのでその合成光度曲線になってしまいます。


GSC 03807-00759のライトカーブ  スライド2
 観測は私の他にスイスの笠井 潔さんと岡山の大倉信雄さんの3人で行いました。 笠井さんのスイスでの観測は時差のため私の観測の間を補完するデータ なりました。大倉さんの観測は私の観測と同じ時間帯で、異常減光時にもデータがきれいに重なって、 変光がリアルな現象であることが確認できました。 


周期の異なる2つの位相図  スライド3
 観測データについて2つの変光星それぞれの周期(VSX記載の)を使って位相図を描いてみました。  上側のグラフは周期約0.228日で描いたもので、縦軸-0.30から-0.55の間で変化しているのが V0442 UMaの変光の様子ということになり、その下側にランダムに表れているのがもう一方のV0441 UMaが 主極小や副極小をおこしていく変化が加わったものです。  下側のグラフは周期約1.306日で描いたものです。V0441 UMaは周期が31時間ちょっとなので、 1サイクルの変光の間に周期約5.5時間のV0442 UMaの変光は約13サイクル繰り返すことになります。 したがって縦軸-0.73あたりがV0442 UMの食外のレベル+0442 UMaのピークの明るさということになります。 2つの変光星の主極小が重なったときに一番暗くなり、縦軸-0.18ぐらいになります。


フーリエ解析による2つの食の分離  スライド4
 2つの食連星の明るさが合成されている観測データをフーリエ解析することによって、2つの光度曲線を分離することを試みました。 F1からF50までの計算を行い、それぞれの変光に関係していると思われる成分を選び出して合成してみました。  さらに観測期間外の合成値も計算することができるので、観測前に光度変化の予測をすることもできました。



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